エッジング(制動)姿勢の大原則を習得!プルークファーレン!

はじめに

今回は、エッジング(制動)姿勢について、簡単な練習を通じてしっかりと確認していきましょう。
プルークファーレンとは、プルークでまっすぐ下に滑り降りる事です。

ね、とっても簡単そうでしょ?

でも侮るなかれ!

プルークファーレンでは、エッジング(制動)姿勢の基本中の基本、スキーの大原則が習得できます。

超ナイスな練習なのです。

ところで、みなさん良くこんなことを言われたりしませんか?

「良いポジションに乗りましょう」
「良い位置に乗ってスキーを操作してください」
「エッジングの時の姿勢が良くありません」
などなど…。

よく言われますよね。あとは、本に書いてあったり。

でも、「じゃあ良い位置ってドコよ?」「良いエッジング姿勢ってナニよ?」っていう肝心の所は意外とだれも教えてくれなかったりする。

それを今日は是非とも「ガッテン!」して頂きたいなという次第です。

さあ、レッツスタート!

どんな人に役立つ練習なの?

この練習は、スキーを始めたての人にはもちろんおススメですが、意外にも2級、1級の取得を目指しているような、スキーが上手くなりはじめた人にもおススメ出来ます。

これは、なぜかというと、中上級者がつまづくきっかけを作っている原因が、実はこの辺りの理屈・感覚(力がしっかり伝わるエッジング姿勢)をしっかりと体得できていない事だったりするからです。
上手くなってくると、このあたりが出来なくても、ほかの技術で上手い事滑れるようになっちゃうんですよね。

でも、プルークファーレンで体感・習得できる動きが分かっていないと、ちょっとした所で上手くいかない事が出てくる。

例えば、

「ちょっと斜度がきつくなると、どんどんスピードが出て暴走しちゃう…。」

「ターンしてて「棒立ち」って言われるんだけど、これ以上どう動けば良いの?」

「傾いてるだけで滑りが軽いって言わちゃう!」

「上手い人ってなんであんなに傾けられるの??」

とか。

こんなお悩みを持っている方には、大いに役立つ練習ですよ!

実際のところは、この練習をしたからと言って、すぐにスキー操作が劇的に上手くなるわけではないんですが、スキーと物理の原則を理解して体感して習得しておくことで、後々に難しい課題・指摘を受けた時に考えが整理しやすくなり長い目で見た時にはかなり大きなアドバンテージになるでしょう。

誰でも出来て、長期的に良い効果がある。
一生ものの技術と知識が得られるわけです。
これがプルークファーレンのとても良い所です。

ただ、ちょっと退屈な練習なので、修行僧みたいにこの練習に固執しなくても良いですからね。笑
練習も楽しみながらやりましょう!

まずは滑りを見てみよう!

まずは、実際にお手本の滑りを見てみましょう!
基本的な動きの解説付きです。

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ハの字の直滑降ですから、そんなに複雑な動きではありませんが、
動きのイメージ、雰囲気がつかめるまで、繰り返し見て下さいね。

今回のポイントは、「しっかりとしたエッジング(制動)姿勢」=「良い後傾姿勢」=「綱引きポジション」というものを理解することです。

「良い後傾姿勢」や「綱引きポジション」というのは、すみません、一般的なスキー用語ではなく私の造語ですので、まだ意味が分からなくても大丈夫です。笑
あとでしっかり解説します。
一応載せておきますと、こういうイメージです。

綱引きポジション
綱引きの典型的な姿勢

「がっつり後傾!だが、これが良い!」

凄い大事なんですよね。

特に「ターンは横に傾くもの」だと思っている方、この綱引きの姿勢とその概念をしっかり今日覚えてしまってください。滑りが絶対に良くなりますから!

こんな滑りに結びつきます

さて、このプルークファーレン、そして制動の姿勢がどんなところに役立つかについてですが、この動きは、スキー技術の根幹、大原則というような感じなので、ほとんどあらゆるターンに生きてきます
制動の姿勢、足の位置を体感することで、どういう方向に足を出して行けば力が受け止められるかの根本を理解できますので、特に、「強く踏み込む」・「深く沈み込む」といった動きに役立ちます。

基礎パラレルターン小回り

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ちょっと見本としては沈み込みが甘い気がしますが、斜度的にはこんなもんかなとおもいます。
板は横だけではなく、前に出す意識も大事。横+前で結果的に斜め前に板が出されて、体重を受け止め、雪を押しどける。そしてスキーヤーの進行方向が変わる。これがエッジングです。

カービングターン

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パット見るとプルークファーレンの動きと全然結びつかないかと思いますが、足を伸ばしていく時の根本的な考え方は同じです。
横に傾いているだけに見えるかもしれませんが、どのぐらい圧に耐えるか、どのぐらい力を受け止めるかを考えながら、ターンの終わりに向けて、舵取りをしながらも、綱引きポジションをゆっくりと、必要なだけ作っています。
スピードが出れば出るほど横の意識は強くなりますが、前の成分が極小化した結果である、と理解するとよいでしょう。
あれ、ちょっと難しい言い方になっちゃってますかね??

さて、話をもどしてプルークファーレンについて考えてみましょう。
次は良い後傾姿勢についてです。

良い後傾?

さてこれからは、プルークファーレン、そして制動のための姿勢を理解するために、「良い後傾姿勢」=「綱引きポジション」というのを理解して、「悪い後傾姿勢」との違いを理解していきましょう。

良い後傾姿勢とは

エッジングの基本となるブレーキ(制動)をかけるのに合理的な姿勢、それが「良い後傾姿勢」です。

なぜ後傾姿勢にならないとブレーキが上手くかけられないかというのをイメージしてもらうためには、やっぱり綱引きをイメージして頂けるとわかりやすいと思います。

綱引き!

綱引きの典型的な姿勢

というのも、スキーヤーが斜面を滑り降りれるのは「地球の引力によって引っ張られている」からです。

スキーヤーは常に地球に引っ張られている!
地球との綱引き1

可愛いでしょ?笑
イメージ図なので、重力とか垂直抗力とか合力とか、そういうツッコミはご勘弁くださいね。

さてこの綱引きのイメージ使って、改めて考えてみましょう。

イメージするのは、
板の真ん中に乗って、
斜面に垂直に立って、
足を横に三角にして開くだけ、
のプルーク姿勢です。

こういう姿勢で引っ張られる力に耐える…。

どうなると思います?

そう!

引っ張られ負けちゃう(加速しちゃう)んですね!

そうならないために、対応・対抗するのがエッジング(制動)という運動って訳です。

この動きを両足ハの字ですればプルークファーレン、両足パラレルですれば勝手に斜滑降やターン(山回りターン)の出来上がり!となる寸法です!

引っ張られ負けない様に抵抗するのがエッジング!
地球との綱引き2

絵は極端に書いちゃってますけど、実際のスキーでは、上半身をこんなにのけ反らせたり、足首の角度がこんなに緩むのはダメですからね、念のため!

足は前に出すので、かかと寄りに力がかかるのは自然な事ですが、
足首はなるべく緩めずに、
板に対してはなるべく真ん中を踏み、
板と身体(重心)の位置関係は前後にズレた状態、
が「良い後傾姿勢」だと思ってください。

チェックポイントとしては、以下のことが出来てれば良い姿勢が作れていると言えるでしょう!

良い後傾チェックリスト
(プルークファーレンの場合)

  • 上半身はあまり前傾させずに起こす
  • お尻が後ろに下がるのではなく、足元が前に出て後傾姿勢が作られる
  • 後傾なのに疲れない
  • 身体の重さがどっしりと板に伝わる
  • しっかりとブレーキがかかる

上半身の傾き具合は、斜度とスピードに合わせて調整が必要ですが、かぶせすぎの人多いので、練習としては大げさに起こしてみても良いと思いますよ。

悪い後傾って?

引っ張られる力を意識せず、足を前に滑らせないで、ただ腰を落として後傾姿勢を作ると、悪い後傾になります。

悪い後傾チェックリスト
(プルークファーレンの場合)

  • 上半身の前傾がきつい
  • もしくは上半身がのけ反りすぎている
  • 板が前に出るのではなく、お尻を落として後傾姿勢を作る
  • めちゃめちゃ疲れる
  • 板の前側が軽く、バタバタする
  • 体重が板に伝わらず逃げている感じがする
  • どんどんスピードが出る

こうならないためのコツとしては、足をしっかり前方向に伸ばす意識を持つことが大事です。
板を前に滑らせても膝が曲がったままでは、板に体重が伝わらずブレーキもかかりませんし、空気椅子状態でとても疲れてしまうからです。

マスターするためのコツ

動画の解説、記事での解説を踏まえたまとめです。
この辺に気を付けてもらうと上手くいきますよ!

  • 斜面の下に引っ張られていることを意識する
  • 引っ張られている力に対抗するのに必要な分だけ足を前に出してハの字を作る
  • 上半身は起こした方が、板に体重がかけやすい
  • 脚(膝)は伸ばし気味でつかう
  • 腰は落とすのではなく足を動かした結果落ちる
  • 出来てるかの判断は、「ブレーキがかかるか」と「疲れないか」

 

【補足】こんなところでやりましょう

いい感覚を得るためには、正しい運動、操作を理解することはもちろん大事ですが、同時に「どんな所、環境でやるか」というのもかなり大事です。
以下の事に気を付けて、自分にピッタリの練習場所を探しましょう!

  • 整地された平らな斜面
    良く整地されていて、うねりの少ないコースを選び、フォールライン(最大傾斜線)にも気を使って滑走方向を決めましょう。コースの進行方向とフォールラインがマッチしていない斜面(いわゆる片斜面)では、左右均等に荷重する感覚が掴みづらくなります。
  • そこそこの斜度
    自分が怖くない範囲で、すこし斜度があるコースで練習しましょう。低速、斜度のないコースでの練習は、かえって感覚が得づらく、トレーニングの難易度が上がってしまいます。

ここまで出来たら合格!ドリルの習得度の目安

私はこの練習を昔はかなりやりましたし、今でも毎朝ポジションの確認でやるようにしていますけど、あまり楽しくない練習なので、そんなに根詰めてやらなくても良いですよ。笑

ただ、練習をする上で目的と目標は明確にした方が良いので、こんな感じではいかがでしょうか?

レベル1

後傾姿勢でのプルークファーレンはやや疲れるが、板の真上の乗って単純に足を横に広げたハの字よりも、しっかりと制動(ブレーキ)がかけられる事が体感・理解できる。

レベル2

後傾姿勢を作ってもあまり疲れない。中斜面程度でもプルークファーレンが出来る。

レベル3

良い後傾姿勢が作れ、ほとんど疲れない。むしろ楽。雪質が良ければ中急斜面ぐらいならプルークファーレンで降りられる。

まとめ

さあいかがだったでしょうか、今回紹介したドリルのまとめです。

  1. ドリル名
    プルークファーレン
  2. 目的
    ・エッジング(制動)姿勢の基本の習得
    ・良い後傾姿勢を体感・習得する
  3. ゴール
    レベル1:後傾姿勢の方がブレーキが良くかかることが分かる
    レベル2:あまり疲れない姿勢の作り方が分かり、いろいろな斜面で実践できる
    レベル3:キチンと疲れない後傾姿勢が作れ、急な斜面でも実践できる
  4. 道具
    通常のスキーで必要な道具一式(板、ストック)
    板は短い方が、足を前に出す感覚が習得しやすい。
    ※長い板はトップが邪魔になり、横に出す量が多くなる。
  5. 練習環境
    圧雪されているコースが望ましい。
    少しスピードがあった方が、良い感覚を得やすく、動作の習得が容易になる。
    怖くない範囲で斜度のあるコースを選択する。

ここまでお読みいただきありがとうございました!
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