スキーにだんだん夢中になってくると、雪が無い時期でもついついスキーの事を考えてしまいますよね?

「オフシーズンにも上達したいな。オフシーズンにもスキーに近い感覚で練習できたら良いのに」そう考えた時、インラインスケートは候補に挙がりやすいトレーニング方法の一つでしょう。

そして、その時に同時に気になってくるのが今回のテーマ、”インラインはスキーの練習になるか?”ではないでしょうか?

今回は、これについて詳しく解説します。

ちなみに私も、学生の頃に、とにかくスキーが上手になりたくてインラインスケートを始めました。


昔ほどは沢山は滑らなくなりましたが、いまだに続けていまして、スケート歴はかれこれ20年近くになります。良いところ悪いところ色々ありますが、やっぱりインラインスケートは楽しいですよ。

毒にも薬にもなる練習

まずは結論からお話ししましょう。

インラインではスキーに役立つ練習が色々出来ますが、ただ何も知らずにインラインスケートをやると色々と変な癖がついてしまう場合があります。

これはなぜかというと、ものすごく端的に言えば”スキーとインラインは使う道具も、行う環境も違う別のスポーツだから”です。
もちろん似ている部分もたくさんあるのですが、違う部分も同じぐらいたくさんあります。

たとえるならインラインスケートは、

”用法用量を守ることできちんと効果が出る、むやみに使えばかえって調子が悪くなることもあるお薬”

といったような感じでしょうか。

”栄養バランスバッチリ、食べるだけで健康になれる薬膳料理”では無いのです。

とはいえ、必要以上に恐れなくても大丈夫です。

どんなトレーニングでもやり方を間違えれば効果が出なかったり身体を悪くする場合もあります。すべての物事には必ずメリットとデメリット、チャンスとリスクがありますね。

パフォーマンスを上げようと焦って無理に高重量の筋トレを行い、逆に怪我してパフォーマンスを落としてしまうというようなのは良くある話です。


何を隠そう学生時代の私がまさにそのような感じで、よく分からないままがむしゃらに打ち込みまして、今振り返って見ると、インラインでの練習では我ながらずいぶんと遠回りをしたなと思います。

なので、”ただ何も知らずに”あるいは”誤った解釈で”インラインスケートをしなければ良い訳です。この記事の目的もそこにあります。


それでは、まずインラインスケートを使ってのトレーニングのメリットとデメリットから見ていきましょう。

メリット

メリットとしては以下のようなことが挙げられます。

”滑る”というスキーに似た特殊な環境が再現できるので、

  • 実戦的なバランス能力を獲得・強化できる
  • 実用的な筋力を維持できる

環境が変化しないアスファルトの上でできるので、

  • 身体に動きを覚えこませやすい(反復練習に向いている)

という部分も見逃せません。

インラインスケートの特性をしっかりと理解して正しい向き合い方が出来れば、オフシーズン中に少なくとも半年分の滑走感覚の蓄積、反復練習の積み重ねができるのです。これは大きなアドバンテージになるでしょう。

デメリット

反対に、デメリットには以下のようなことが挙げられます。

スキーとは根本的に違う部分がありますので、

  • スキーと同じ操作をしても違う反応・感覚が返ってくる場合がある
  • 反応や感覚の違いからスキー技術を誤って理解するリスクがある

また、反復練習が容易で練習する期間も長く出来るので、

  • スキーに適さない操作が癖として定着するリスクがある

という所も注意する必要があります。



インラインスケートでのスキーの練習では「滑っている外観はパッと見似ていて、滑って感じる感覚も結構近いのに、つぶさに見ていくと意外と違う」というのが非常に曲者です。

スキーの練習をスキーでしていれば、滑りこんでいく内に良い感覚を見つけられたり、良い感覚を探っているうちに動きが洗練されてきたりします。

一方、スキーの練習をインラインスケートですると、必ずしもそうとは限りません。

なぜかと言うと、インラインスケートで得られる良い感覚というのは、ウィール(スケートのタイヤ)とアスファルトという条件で生まれるもので、それがスキー板と雪にもそのままあてはまるとは限らない場合があるからです。

「インラインで良い感覚が得られる操作だからといって、スキーでも良い感覚が得られるとは限らない」これをしっかりと覚えておいてください。
インラインスケートを滑った時の良い感覚・良い滑走シルエットだけを追い求めていくと、ガッツリと落とし穴にハマる場合があります。

そして残酷なことにそれに気づくのは、いざシーズンに入ってからなのです。

メリットの所でお話しした通り、オフシーズン中にインラインに打ち込めば、少なくとも半年分の滑走感覚の蓄積、反復練習の積み重ねができます。しかし、その半年分のイメージがずれたものであった場合、数か月の短いシーズンで修正しなければならなくなります。

これがインラインスケートの”毒と薬”ですね。
スキー技術を理解してインラインの特性が理解できた上で、インラインスケートが出来ればバッチリなのですが、そこまで詳しく覚えてられないという人は、した方が良い練習としない方が良い練習だけ気をつければ大丈夫です。

さて、今日はいったんここまでにします。

次回からは、いよいよ具体的にスキーとインラインの何が違うのかについて説明していきたいと思います。どうぞご期待ください。