動画紹介

今回はアメリカ編です。インタースキーに参加したカナダのヘッドコーチであるジョンギリーズ氏によるインタースキー2011の解説動画を紹介します。

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動画

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概略(大まかに言うと?)

  1. 機能性(あらゆる状況で通用すること)を重視した滑り
  2. スタンスは狭めである
  3. 上下動が、エッジングを遅れさせてしまっている。

技術解説

アメリカの表現したスキーは、機能性を重んじ、雪山のあらゆる局面で通用する技術体系を目指したものでした。
いくつかの点においては、カナダのアプローチに非常に似たものがありますが、おそらくアメリカのデモンストレーションはレーシングでの最高峰を意識したものではなかったようです。
彼らの滑りの傾向としてみられる、やや狭いスタンスというのはレベルの高い技術にもなりえますが、もう一つの傾向である上下動によるスキー操作は、彼らの身体を雪面から浮かせてしまう事に繋がります。特に切り替えでこの操作が見られると、スキー板に圧をかけるタイミングがフォールラインを過ぎてからになってしまいがちです。
しかし、総評としては、雪山のあらゆる局面で通用するスキーを上手く表現しており、私が最初に言ったように「機能的(合理的)」な滑走技術と言えるスキーです。

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雪の軌跡コメント

機能性を重んじた滑りであるのに、上下動が過度で、エッジングは遅れ気味。
にもかかわらず、カナダのヘッドコーチのギリーズ氏をして、「雪山のあらゆる局面で通用するスキーを上手く表現し、機能的(合理的)な滑走技術」と言わしむる。
これはどういうことなのでしょうか?なぞなぞみたいですね。

これを理解するためには、海外で抜重(ジャンプ)による切り替えがどのように捉えられているかを知る必要があります。
日本のスキーでは、えてして、技術を「正しい」か「間違っている」かの二元論で判断する傾向がありますが、世界では違います。
世界では、ある動作をする事で「何が得られ」、代わりに「何を失う」かで滑りを判断し、間違っているという判断は余り下しません。そのため色々な技術が許容される傾向があります。
海外では、整地ではない場所、特に、難しく険しい状況では、ジャンプによる切替は、得られるメリットが多い重要な技術とされる事が多くあります。
また、理想的な操作ではないものの、レースの世界でも、ジャンプによって板を浮かせる事で、切替の板を素早く振り回す操作はしばしば見られます。
つまり、ギリーズ氏が言いたい事は、整地でタイムを出すための基本的な動きからは離れているが、雪山のあらゆる局面で滑る技術が含まれた滑り、それが機能的に融合されているのがアメリカの滑り、と言う事です。

ちなみに、一部のアメリカ式のスキーの教本は日本のアマゾンで簡単に購入することが出来ます。
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この本はアメリカの公式の本(USSA、PSIAが出版した本)ではありませんが、PSIAのインストラクターとしてもUSSAのレースのテクニカルアドバイザーとしても豊富なキャリアを持つロン氏の著作で、非常に明確で詳細な解説が特長です。
これははっきり言って必携の本で、超おススメです。
残念な事ですが、日本にはこのような素晴らしい本はありませんし、この本で書かれているような内容をきちんと理解しているインストラクターやコーチには、私は会った事がありません。
英語が多少読めるなら、ぜひ挑戦してみてほしい本です。